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地域防災への参加|私たちにできる取り組みと浜松市の事例紹介

  • 2025年4月24日
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  • くらし

日本は地震や台風、豪雨などの自然災害が多く、そのリスクに備える地域防災が重要です。しかし、大規模災害時には、公的機関の支援だけでは対応が難しい場合もあります。そこで、個人の「自助」、地域住民同士の「共助」、自治体や公的機関による「公助」が連携し、災害に備えることが求められています。この記事では、地域防災の重要性と具体的な取り組み事例を紹介し、地域全体の防災力を高める方法を考えます。

なぜ今、「地域防災」が重要なのか?

近年、大型台風や地震、豪雨といった災害が頻発し、その規模も増していることから、「地域防災」の重要性が一層高まっています。これらの災害はいつ、どこで起こるか予測が困難であり、私たちの暮らしに大きな影響を及ぼす可能性があるのです。そのため、「自分の地域で災害が発生した場合」を具体的に想定し、対策を講じることが欠かせません。

また、気候変動により異常気象も深刻化しており、防災への取り組みをより緊急にしています。地球温暖化の進行に伴い、台風の大型化や豪雨による河川の氾濫などが頻繁に報道される現状を見ると、地域ごとに防災計画の必要性がよく分かります。施設やインフラの整備だけでなく、住民一人ひとりの防災意識を高めることが重要です。

地域社会全体で防災に取り組むことで、災害時の連携が強化されるだけでなく、日常のコミュニケーションや絆を深める効果も期待できます。これからの時代、地域防災の取り組みは私たち自身や大切な人々の未来を守ることに直結するでしょう。地域で防災力を高めることが、安心して暮らせる社会を支えるのです。

「自助」だけでは足りない?災害時の「共助」の役割

災害対策の基本は、「自分の命は自分で守る」という「自助」の意識から始まります。非常食や水の備蓄、自宅の耐震化、避難経路の確認といった備えは、災害発生直後の混乱を乗り切るために不可欠です。しかしながら、大規模な災害が発生すると、個人や家族だけで対応しきれない状況がしばしば起こります。

そのような時、地域住民同士が助け合う「共助」の力が必要不可欠となります。近隣住民が互いに協力することで、避難誘導や安否確認、困難を抱える人々への支援が迅速かつ円滑に進むことがあるのです。例えば、阪神・淡路大震災では、近隣住民による救助活動が被災者の命を救う大きな要因となったことが知られています。

災害に備えるためには、日常的に地域の人々と交流を深め、防災訓練を通じて絆を育むことが大切です。「自助」と「共助」が補完し合うことで、災害時の安全性が格段に高まります。そして、それを支える公的機関の「公助」と連携することで、地域全体の災害対応力がさらに強化されるのです。

公的支援が届く前の対応の重要性

大規模災害が発生すると、ライフラインの寸断などにより消防や自衛隊といった公的支援がすぐに到着しない可能性があります。被害を抑えるためには、公的支援が届くまでの間の対応が重要です。災害発生直後からの72時間は「救命率の壁」とも言われ、初動の対応が人命救助の成功を左右します。

特に、発災直後の数時間から数日間は、地域住民同士の連携が大切です。初期消火や安否確認、避難誘導といった対応は、公的支援が届く前でも、近隣の協力によってスムーズに進められます。例えば、避難が困難な方への支援や情報伝達など、地域で助け合う「共助」の力が発揮されるのです。過去の災害時には、近隣住民の協力による救助活動が大きな役割を果たした事例がいくつもあります。

また、混乱の中でも適切に行動するためには、事前に避難経路を確認したり、備蓄品を用意しておくなど、個人の「自助」も大切です。日頃から防災訓練や地域活動に参加し、顔の見える関係を築いておくことで、公的支援が届くまでの期間を地域社会全体で乗り切る力を育むことができます。

地域特性に合わせた備えの必要性

日本は地域ごとに地理的・社会的な特性が異なり、それに伴って災害リスクも大きく変わります。地震が頻発する地域、台風や豪雨による水害が起きやすい地域、また津波や土砂災害のリスクが高い地域など、それぞれで想定される災害が異なるため、一律の防災計画では対応しきれないことも少なくありません。

地域特性を踏まえた備えを進めるには、まずその地域で起こりうる災害を正しく理解することが重要です。例えば、津波のリスクがある沿岸地域では、津波避難タワーの設置や避難ルートの整備、浸水エリアが明確に分かるハザードマップの活用が効果的です。一方で、豪雨や河川の氾濫が懸念される地域では、水害時の避難訓練を実施したり、防水壁や排水設備の整備を進めるといった対策が求められます。

また、過去の災害経験や地域の人口構成を考えながら、支援を必要とする高齢者や障がい者への配慮も必要となります。防災計画に住民の声を反映させたり、防災訓練を実施して住民間のつながりを強めたりすることで、共助の力を育むことにつながるでしょう。

具体的にどんな活動がある?地域防災の取り組み事例

地域防災にはさまざまな活動が含まれ、住民や自治体が協力して災害リスクの軽減を図る取り組みが進められています。防災活動は知識を得るだけでなく、実際の行動につなげるための体験や計画作成を通じて行われるものも多いです。ここでは、代表的な4つの取り組み事例をご紹介します。

体験して学ぶ

災害時の対応力を高めるには、実践的な訓練で体験を重ねることが大切です。避難訓練や初期消火訓練、応急手当などの基本的な訓練に加え、「図上訓練(DIG)」や「避難所運営ゲーム(HUG)」などの特殊な取り組みも行われています。

DIGは地図を使って災害時の行動をシミュレーションし、防災計画を具体化するための訓練です。一方、HUGはカードゲーム形式で避難所の運営を模擬体験し、さまざまな状況を想定した判断を求められる訓練を指します。

活動に参加した住民たちは、日常的な防災意識を高めるとともに、地域住民間の協力体制を築くことにつながります。また、特定のシナリオに基づいたシミュレーション訓練は、実際の災害を想定し、対応方法を学ぶ実践的な取り組みとして注目されています。

災害発生時にパニックを避け、冷静な判断を下せる力を育むためにも、体験型の防災活動で住民の災害対応力強化を目指す自治体が増えています。

地域を知り、計画する

地域特性に応じた防災計画を策定するためには、住民自身が地域を深く理解することが欠かせません。

自治体が用意しているハザードマップを活用するだけでなく、「防災まち歩き」を実施して、地域の危険箇所や避難ルートを直接確認することが効果的です。防災まち歩きは、地図に情報を書き込みながら地域を歩く活動で、実際の状況を目で見て認識することで、より実用的な防災マップを作成できます。

その上で、地域全体で避難計画を策定する「地区防災計画」を進めることで、地域住民間の防災意識を高め、具体的な行動を共有することが可能です。この計画では、避難場所や経路の設定、要支援者への配慮、災害発生時の連携方法などが含まれます。地域に密着した計画を作成することで、いざという時に迅速かつ効果的な行動を取りやすくなるでしょう。

いざという時の情報網

災害時に命を守るためには、迅速かつ正確に情報を収集し共有することが不可欠です。停電や通信障害が発生した場合でも、情報が途絶えないよう、複数の伝達手段を確保しておくと良いでしょう。

例えば、防災行政無線・地域FM・専用アプリ・SNSなどを活用し、これらを組み合わせて情報網を多重化する取り組みがあります。防災行政無線は広範囲にわたって一斉に伝達できるのが特徴ですが、それだけに頼るのではなく、SNSや登録型メール、ケーブルテレビ、IP告知システムなど地域特性に応じた伝達手段を併用することで、情報共有の精度を高めることにつながるのです。

また、各住民に対して戸別受信機を配備する取り組みも進められています。これは屋内でも確実に情報を受け取れるようにするもので、特に夜間や屋外スピーカーが聞き取りづらい場合に効果的です。住民に防災情報が確実に行き渡るような情報網を築くことは、地域防災力の強化に欠かせないと言えるでしょう。

ワークショップや交流イベント

防災への関心を高めるためには、堅苦しいイメージを払拭し、楽しみながら学べる機会をつくることが大切です。近年では、「防災フェス」やワークショップ、スタンプラリー、防災クイズなど、地域住民が気軽に参加できる交流イベントが注目されています。

例えば、子どもたちには防災グッズ作りや防災ゲームで楽しく学べる場を、大人には防災セミナーや勉強会などを開催することで、世代を超えた防災意識の共有を図ることが可能です。

さらに、オンラインイベントの活用も進んでいます。自宅で気軽に参加できる防災運動会や防災トランプ大会など、インターネットを活用した新しい形のイベントは、幅広い世代に受け入れられやすい形式です。

このような交流型の活動を通じて、地域コミュニティを強化し、災害時の助け合い精神を育む基盤を作ることが期待できます。参加者が防災の重要性を自然に理解し、地域社会の絆を深めるきっかけとなるでしょう。

浜松市の防災情報:役立つリソースと活動紹介

静岡県浜松市は、広大な市域と美しい自然に恵まれる一方、地震・津波・台風などさまざまな災害リスクを抱える地域です。市民の安全を守るため、浜松市では防災情報の提供や地域の防災力を高める活動が積極的に進められています。ここでは、浜松市の具体的な取り組みをご紹介します。

役立つ防災リソース

浜松市は、防災情報の提供に力を入れており、いざという時に市民が正確な情報をすぐに得られるよう、多彩なリソースを活用しています。

例えば「浜松市防災ホッとメール」や公式LINEアカウントでは、気象警報や避難情報をリアルタイムで配信しています。地デジ12ch「チャンネル・ウィンディ」では、緊急速報システムのJアラートやLアラートと連携した災害情報を放送し、テレビで重要情報を確認することが可能です。

また、洪水・土砂災害・津波・地震リスクを示すハザードマップを公開し、地域ごとの災害特性に応じた備えも支援しています。自主防災隊の活動も積極的に進められており、地域住民が主体となって防災訓練や教育活動を行うことで、地域全体の防災力を高めています。

浜松市防災学習センター「はま防〜家(ぼ〜や)」では、災害時の避難や避難所生活をリアルに体験できるプログラムが用意されており、市民が防災について「考え・備え・行動する」力を育む場となっています。このように、浜松市は多方面から市民の安全を支えるための取り組みを行っています。

参考:自主防災組織の役割|浜松市
参考:浜松市防災学習センター

主な防災活動

浜松市では、防災への意識を高めるため、地域住民や自治体が協力してさまざまな防災活動を展開しています。その中でも注目されるのが「地域防災訓練」です。

毎年、静岡県が定める「地域防災の日(12月の第一日曜日)」に合わせて各地区で訓練が実施されており、地震や津波、豪雨災害に対応するための実践的な内容が盛り込まれています。例えば、地震発生を想定したサイレンの吹鳴・津波警報の通知訓練・初期消火・土のう作り・負傷者の救護活動などが体験できます。

こうした訓練は、地域の自主防災隊や消防団だけでなく、地元の中高生も参加し、世代を超えた協力体制が構築されています。令和6年には、消防ヘリを活用した救出訓練が実施され、住民が災害対応の手順を学び、災害時に備える意識を深めることができました。

また、「冬フェスタ」などのイベントでは、楽しみながら防災を学べる取り組みが行われています。例えば、防災工作室や避難所生活の模擬体験、地元高校生による防災ワークショップが開催され、子どもから大人まで幅広い層が参加可能です。

特に注目すべきは、避難所のパーティションを活用した脱出ゲームや、防災に関するクイズラリーなど、創意工夫に富んだ活動です。また、VRや実験模型を活用して地震や津波の仕組みを学ぶ展示もあり、視覚的にも理解しやすい内容となっています。

まとめ

地域防災は、自然災害が頻発する時代において、私たちの未来を守る取り組みです。自助・共助・公助のバランスを取りながら、住民一人ひとりの防災意識を高めることが重要です。

特に、災害発生前の備えや地域特性に応じた計画の策定、住民間の連携を深める活動が、災害時の安全性を向上させます。いつ起こるか分からない災害に備えるためには、平常時からの準備が大切です。

浜松市では、ハザードマップの活用や防災学習センターでの体験型学習、地域防災訓練などを実施し、全世代が防災力を強化する取り組みが進められています。これらの活動を積み重ねることで、安心して暮らせる地域社会を目指すことができるでしょう。